研究概要 |
悪性脳腫瘍の17例について放射線治療(60Gy照射)・化学療法(ACNUの局所動注)の前後に201T1C1-SPECTを行い,CTあるいはMRIをSPECTと同時期,治療後1〜2ヶ月に行い,T1-index(腫瘍部の201T1 uptake/正常部201T1 uptake)との関係を比較した。対象は,悪性星細胞腫が14例,悪性リンパ腫が2例,髄芽腫が1例であった。治療後1週以内ではCTやMRIでの腫瘍の大きさにはほとんど変化がなくともT1-indexの上昇例があり,それらは治療後1〜2ヶ月で増大傾向にあった。治療御1週でのCTやMRIで腫瘍が縮小していた例ではT1-indexは全例で低下していた。さらに,治療直後にCTやMRIで腫瘍縮小の認められなかった症例で,T1-indexの低下していた例では,治療後1〜2ヶ月で腫瘍は縮小傾向にあった。治療前と治療後1週でのT1-indexの変化と,腫瘍径の変化との有意な相関関係は得られなかったが,治療前と治療後1週でのT1-indexの変化と,治療前と治療後1〜2ヶ月での腫瘍径の変化とは相関関係が得られた。(y=0.87x+0.07,r=0.75,p<0.001)。201T1C1の集積部位は造影CTや造影MRIでみられる造影剤増強部位にほとんど一致しており,腫瘍の活性部位を描出することについて201T1C1がCTやMRIを凌駕するものとは考えられなかった。しかし,本研究の結果により,悪性脳腫瘍の放射線・化学療法を施行する際には,その前後で201T1-SPECTを施行し,T1-indexをみることで,CTやMRIで腫瘍径を判定する前に,追加治療や治療法の変更の判定が可能であることを示唆していた。
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