研究概要 |
細胞起源を同じくするが放射線感受性の異なる2つの細胞株(NMT-1ならびにNMT-1R)を用いて照射後早期に認められる細胞死ならびにアポトーシスに関して比較検討した. 1.照射早期の形態学的変化 両細胞株にin vitroで5Gyの照射を行い.形態学的変化を経時的に位相差顕微鏡で観察すると,放射線感受性株であるNMT-1株ではアポトーシスに特徴的である形態学的変化が照射後6時間から出現し,照射後24時間ではより明確となった.この形態学的変化は照射線量の増加とともに顕著となった.一方,放射線抵抗性株であるNMT-1R株では10Gyの照射を行っても照射後24時間まで明らかな形態学的変化は認められなかった.アポトーシス検出キットであるアポタック染色ではNMT-1株に明らかな染色性が認められたがNMT-1R株では染色性は認められなかった. 2.DNA電気泳動 NMT-1株では形態学変化と一致してDNAの断片化をしめすラダーホ-メーションが認められたが,NMT-1株では認められなかった. 3.照射後の細胞周期の変化 NMT-1株ではG_2 delayがNMT-1R株に比較して長時間持続し,G_1 arrestも認められた.一方,NMT-1R株では照射による障害からの回復が速く明らかなG_1 arrestは認められなかった. 以上の結果より,放射線感受性の高低はアポトーシスの多寡と関連しており,放射線誘発のアポトーシスが放射線感受性の指標となりうる結論をえた.この研究成果はInt. J. Radiat. Biol.に掲載予定である.
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