研究概要 |
乳癌、前立腺癌の骨転移の疼痛軽減治療としてβ^-線を放出する骨親和性放射性薬剤(ストロンチウム-89;Sr-89chloride,サマリウム-153標識リン酸化合物;Sm-153EDTMP)が使用され、その効果が報告されている。しかし、骨髄抑制の副作用があり投与量当たりの骨摂取量を増強させる必要がある。これまで副甲状腺ホルモンや男性ホルモンが併用されてきたが、期待された効果が得られなかった。我々はCaおよびリン酸含有量の異なる飼料で飼育したラット群で同じアルカリ土類金属のカルシウム-47(Ca-47chloride)とテクネチウム-99m標識リン酸化合物(Tc-99mMDP)の骨摂取がどのように増強されるか検討した。 1)放射性薬剤のラットの全身分布 Tc-99mMDPをラット尾静脈から投与し、24時間後に麻酔下で全身シンチグラムを撮像し、デジタル画像化して、全身の放射能に対する全身骨への分布状態を評価した。90%以上の放射能が骨に認められた。従って24時間後の放射能の全身残留率は全身骨摂取(global skeletal uptake : GSU)を反映していることが分かった。 2)24時間後のTc-99mMDPとCa-47chlorideの骨摂取 8週令のウィスター系雄ラット(n=18)を対照群(C),低Ca群(A)および低リン酸群(B)に分け、特殊飼料で2週間飼育した。Tc-99mMDPおよびCa-47chlorideをそれぞれ静注し、24時間後の全身骨摂取(GSU)を測定した後、屠殺して、Ca-47の大腿骨摂取(FU)を測定した。Tc-99mMDPのGSU(%)はC群:51.7±2.7,A群:49.6±3.5,B群:69.3±5.6(p<0.01)であった。またCa-47chlorideのGSU(%)はC群:80.2±2.7,A群:93.7±3.1(p<0.01),B群:72.3±4.3(p<0.01)であった。また、Ca-47のFU(%dose/g)はC群:3.76±0.33,A群:4.27±0.15(p<0.01),B群:3.09±0.18(p<0.01)であった。2週間の特殊飼料による飼育で骨親和性の放射性薬剤の骨摂取が増強されることが分かった。
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