当初の研究計画が^<186>Reの入手が遅れたことにより大幅に遅れることになったが、同様な治療効果が期待できる^<90>Yを用いて研究を開始した。^<90>Yの比放射能が重要な点の一つであり、無担体の^<90>Yでなければ標識抗体自身の比放射能が低く腫瘍細胞叉は担癌動物を用いた実験に支障あることを確認した。無担体の^<90>Yは、^<90>Srからのミルキングが必要でありそのためのジェネレータを作製した。放射能の測定については、液体シンチレーションカウンター、叉はγカウンターでの測定方法を検討した。 放射性核種のモノクローナル抗体蛋白の標準化は、キレート剤(DTPA anhy)を用いておこなった。標識率は、72.5%であった。 HuP-T4担癌ヌードマウスにおける標識モノクローナル抗体の腫瘍への取り込みは、最大で10.5%/g組織であった。今後in vitro培養系およびin vivo担癌動物について、腫瘍の大きさの推移と放射能濃度との関係を検討し、腫瘍の大きさと吸収線量との関係を表すモデルを提案する。吸収線量と殺細胞効果との関連について考察する。 新たに平成8年4月以降原研より^<186>Reが供給されることになり、膵臓癌の^<186>Re放射免疫治療の可能性について基礎的な面から検討する。 1.MoAb 17-1Aの^<186>Re標識について、キレート剤による標識率、安定性等を明らかにする。 2.標識モノクローナル抗体と腫瘍細胞HuP-T4との免疫反応性について、以前の核種との相違を明らかにする。 3.標識抗体の腫瘍への取り込みと他臓器との分布について明らかにする。 4.in vitro培養系およびin vivo担癌動物について、吸収線量と殺細胞効果との関連について明らかにする。
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