研究概要 |
我々は、まずJ.Nucl.Med.34:260-267(1993)の文献をベースに標識化を試みた。標識メカニズムは、Reと蛋白に含まれるSとのキレート結合に基づくものであり、そのために抗体のジスルフィド基をアスコルビン酸で還元し、又^<186>ReO4-をクエン酸/塩化第一スズで還元した。そして両者を反応させ、SephadexG-50で精製した。標識抗体の溶出位置については、各フラクションの280nmの吸光度測定によって同定した。標識抗体のフラクションは、No.5-7でありこの場合標識率は、52.3%であった。 なお、標識率は、同じ条件下で数回検討したがバラツキがあり、安定した標識率は、得られなかった。Re-186の比放射能の変化並びに使用する放射能の量が影響しているのかもしれない。標識化についてさらに詳細について検討しなければならないと考えている。 次に体内動態については、まず担癌動物の作製は、5週令のBALB/cnu/nuマウス雄に尾静脈より1X10^7個/0.2mlPBS/匹を投与して作製した。そして腫瘍径が約0.5cmに達した時に動物に2X10^5cpm/80μg及びRe-186 2X10^6cpm/0.2mlPBSを尾静脈内に投与し経時的に屠殺し、主要臓器を摘出し、その湿重量と放射能を測定して、結果を%ID/gで表した。一部尿中、糞中排泄を調べた。 体内動態については、まだ例数が少なく明確なことは、言えないが、放射免疫治療の観点から、従来24hr,48hr,72hrのタイムスパンでデータを取っていましたが、Re-186については従来のIn-111,I-125よりも体内からのクリアランスが早いものと考えられました。そのためにサンプリング時間を1,3,5時間に設定し直しました。なおRe標識抗体については、都合により1,3,5時間の実験が出来なかったが、コントロールであるRe-186単独において血中クリアランスが早く、腫瘍内への取り込みをはじめとする体内分布量もIn,Iよりも少ないという結果を得た。その裏付けとなる尿中、糞中排泄量は、24時間でトータル標識抗体での50%、Re単独の60%であり72時間までに投与量の70-90%の排泄を見た。 このようにIn-111,I-125とは明らかに血中濃度、臓器内濃度等に違いが見られ、この点についてもさらなる検討が必要と考えています。
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