1.血流の調節を可能とするステント留置法の開発:ステント内に回収可能なフィルターを留置した後に離脱式バルーンを置く方法を検討したが、この方法には(1)フィルターの回収できる期間に制限のあることと手技がやや煩雑であること、(2)血流調節用バルーンとして離脱式のものでは回収が難しいことがわかった。そこで、渦巻型ステント留置法とヘパリンコーティングバルーンカテーテルの併用による方法を検討している。形状記憶性渦巻型ステントは作製可能であることがわかったが、径を小さくすることが次の課題である。 2.ACEIを用いる内膜増殖の防止:内膜増殖作用としてのアンギオテンシンIIの抑制はラットやウサギではACE阻害薬によってなされるが、イヌ、サル、ヒトではACE阻害薬に加えてキマ-ゼ拮抗薬(キモスタチン)を併用する必要があるという基礎データが報告されている。実験に用いる薬剤としては、ACE阻害薬以外をも検討する必要がある。 3.ステント留置による内膜増殖の検討:(1)成犬における検討:成犬の下大静脈内に自作Zステントを留置し、血管造影で追跡観察した結果、内膜増殖の発生を認めたが、側枝である肝・腎動脈の開存が確認された。(2)臨床例:頸動脈内、TIPS路内にウォールステントを留置した。術前の放射線照射が内膜防止に関与することが示唆された。
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