研究概要 |
血管拡張の維持に重要な金属ステントの狭窄防止策と血流の調節に関して研究を行った。1.血流可変ステント機構の開発:ステント内の血流を調節するために、バルーンの移動防止に開発した両端渦巻型形状記憶ステントをステント内に置き、その中にバルーンを留置する方法を考案した。テフロンチュウブで門脈圧亢進症の血行動態モデルを作成してTIPS路にバルーン留置前後の血行動態の変化をMRで計測した。TIPS想定チューブ内にバルーンを留置するとTIPS想定チューブ内の平均流速は、48.6cm/secから20.7cm/secに減少し、肝外性副血行路想定チューブ内平均流速は,46.7cm/secから64.3cm/secに増加した。バルーンを留置する前後の流量は,それぞれ、TIPS想定チューブ内で55.4ml/1.5sと24.6ml/1.5s,肝外性副血行想定チューブ内で53.3ml/1.5sと76.4ml/1.5sであった。即ち、バルーンの移動を防ぐ金属ステントとバルーンの組み合わせ機構を設定する事により血流の調節が可能であることがin vitroで証明された。今後、成犬における安全性と有用性に関するin vivoの検討が必要である。2.ステント留置による内膜増殖の検討:成犬の肝部下大静脈と腎部下大静脈にステント留置5.5年後、肝静脈、腎静脈などの側枝は開存しておりステント金属の存在する領域にコラーゲン線維の増殖がみられた。臨床的に肝部下大静脈閉塞症Budd-Chiai syndrome、難治性腹水に対するTIPSS、頚動脈ステント留置を図ってきたが、放射線治療歴とステント開存の関係が示唆された。最近、ラットとは違いACE阻害薬を投与しても、イヌやヒトの血管では、アンギオテンシンIIの生産は止められず、キマ-ゼによることが分かってきた。今後は薬剤より血管内放射線治療に研究を押し進めたい。
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