研究課題
一般研究(C)
正常例20-30例を集積しBull's Eye Map上で心筋のカウント分布の正常マップを作製し、各局所における平均値と標準偏差値を算出した。これを元に症例のExtent Mapを作製する際、正常下限を1〜3SD(標準偏差)のいずれに設定するかを検討した。冠動脈左前下行枝(LAD)と左回旋枝(LCX)では、2SDの設定でほぼ異常部位を適度な大きさで表示することができたが、右冠動脈(RCA)では2SDにすると病変が過小評価される傾向にあった。これは心筋SPECT像における下後壁のカウントがattenuationのために症例によって差があることから、正常範囲のSD値が大きくなることに起因すると考えられた。以上よりRCAに関しては1.5SDに設定する方が適度な異常域を表すかもしれない。これについては正常例の選択を含めなお検討をする必要がある。Neurocomputerに学習させるには典型的な冠動脈1枝、2枝、3枝病変を多数例収集する必要があるが、患者の運動量、投薬状況、冠動脈狭窄度によって冠動脈疾患があっても虚血が検出できる場合とできない場合があること、特に3枝病変では必ずしも3枝に対応する異常が出ないことがあり、Neurocomputerに学習させるための典型的な異常域を示す症例の収集にはなお時間を要する見込みである。Neurocomputerへの画像の転送は現在のところオンラインでは、不可能であるため、心筋解析装置で作成したBull's Eye MapのExtent表示をカラー表示でコピーし、これをNeurocomputerに接続したscannerで読みとることによって行っている。将来的にはオンラインで読みとることを可能にしたい。