研究概要 |
1.正常ボランティア5名にフッ素18標識フルオロデオキシグルコースを用いたポジトロンCTを行った結果、正常甲状腺組織の糖代謝は0.97±0.20SUVであった。また、正常ボランティア3名に炭素11標識メチオニンを用いたポジトロンCTを行い、正常甲状腺組織のアミノ酸代謝は1.02±0.29SUVであった。 2.未治療甲状腺腫瘍患者については、糖代謝は乳頭癌6.68SUV(n=2)、濾胞腺腫2.12±0.36SUV(n=3)、アミノ酸代謝は乳頭癌3.4SUV(n=2)、濾胞腺腫3.8±0.7SUV(n=3)、であり、甲状腺腫瘍では糖代謝、アミノ酸代謝ともに正常甲状腺組織よりも亢進しており、特に乳頭癌では糖代謝の亢進が顕著であることが明らかになった。 3.甲状腺癌術後再発腫瘍の糖代謝は乳頭癌4.40±3.04SUV(n=14)、濾胞癌4.62±2.85SUV(n=2)、アミノ酸代謝は乳頭癌2.90SUV(n=1)、濾胞癌7.80SUV(n=1)であり、再発腫瘍では糖代謝、アミノ酸代謝ともに正常甲状腺組織よりも亢進していることが明らかとなった。 4.甲状腺癌術後で再発のない患者4名と再発腫瘍のある患者6名について、糖代謝測定とヨード131シンチグラフィの診断能を比較した結果、糖代謝測定はsensitivity100%,specificity100%,accuracy100%に対して、ヨード131シンチグラフィはそれぞれ50%,0%,30%と糖代謝測定が優れていた。 5.以上の結果より、フッ素18標識フルオロデオキシグルコースおよび炭素11標識メチオニンを用いたポジトロンCTは甲状腺腫瘍の質的診断に有用であり、術後再発の診断に関してもヨード131シンチグラフィよりも診断能に優れていることが明らかとなった。
|