研究概要 |
平成7年度はファントムを用いて基礎的実験を行った.内径がそれぞれ4mm,6mm,8mmで,25%,50%,75%の狭窄を有するものに対する超高速X線CT(イマトロン C-150型)によるCTアンジオグラフィーの精度の検討では,内径が小さいほど軽度狭窄は過小評価を,高度狭窄は過大評価の傾向がみられた.この結果は1996年12月の北米放射線学会,1997年4月の日本医学放射線学会総会などで発表し,論文をRadiation Medicine誌に発表した(15:273-276,1997). 平成8〜9年度は臨床例の積み重ねを行った.7年度の基礎的検討において4mmほどの細い血管病変の評価にはあまり適しないと判明したため,当初の予定であった頭蓋内脳動脈の評価は行わず,頚部の動脈,特に総頚動脈から内頚動脈にかけての病変について評価を行った.臨床的に脳虚血性疾患で内頚動脈病変が疑われた例に,イマトロン(C-150XP型)を用いてCTアンジオグラフィーを行った. 300mg/Iの造影剤を右肘静脈から2ml/secの速度で約90ml注入し,注入開始25sec後からスキャンを行った.スライス厚3mmのCVSモードで,スキャン時間0.3secで行い,MIP(最大値投影法),MPR(多断面再構成)および3D(3次元画像)を得た. 選択的血管造影と対比できた症例はまだ少ないが,病変はやや過少評価される傾向があった.CTの分解能の限界によるものと考えられる.但し,異常な血管壁の石灰化病変を診断でき,治療計画をたてる上できわめて重要である.しかし,スキャン時間がきわめて短いイマトロンCTを用いても,静脈が動脈と同一画像上に重なるため,血管造影に比べて劣った. 定量的評価を行うにはまだ症例数が不足で,今後も引き続き症例を重ねていく予定である.
|