研究課題/領域番号 |
07671015
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
奥村 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (00073130)
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研究分担者 |
島崎 達也 長崎大学, 医学部, 教務職員 (60264248)
井原 誠 長崎大学, 医学部, 助手 (60175213)
岡市 協生 長崎大学, 医学部, 助教授 (80124874)
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キーワード | 癌遺伝子 / 熱感受性 / NIH3T3細胞 |
研究概要 |
癌温熱療法(ハイパーサーミア)は放射線治療を補うものとして新しく導入された。しかし、熱感受性は細胞の種類によって平均致死量で10倍の違いがあるため、すべての癌に温熱療法が適用できるとは限らない。細胞の癌化は癌遺伝子の発現によって起こることから、正常細胞に各種の癌遺伝子を導入し、それらの細胞の感受性を調べることにより、熱感受性を支配する癌遺伝子を調べた。このことは、癌化細胞の発現癌遺伝子を、温熱療法を行う前に調べることにより、治療の予後を予測できることになり、各々の癌症例について効果的な治療法を選ぶことができることになる。 この研究では、正常細胞としてマウス培養細胞(NIH3T3)を用い、次の癌遺伝子を導入し、癌化させた。すなわち、myc、Ki-ras、N-ras、H-ras、int-2、fgr、sis、srcである。 44℃温熱処理による各遺伝子を導入した細胞の熱感受性を調べた。Ki-ras遺伝子導入した細胞は統計的に有意に温熱処理に対して抵抗性を示した。このことはKi-ras遺伝子の発現によって癌化した腫瘍は温熱に対して抵抗性を示すことになり、温熱療法は好ましくない。 44℃15分温熱処理後の熱耐性を各遺伝子を導入した細胞について調べた。分割加温4時間間隔の熱耐性比は、NIH3T3細胞が2.5に対し、Ha-ras細胞は一番小さく2.06であった。このことはHa-ras遺伝子の発現によって癌化した腫瘍は温熱に対して熱耐性を示さず、温熱分割処理に適している。 これらの結果は、癌治療の前に癌関連遺伝子の発現を調べることによって、温熱療法の適否が判断できることを示唆する。
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