研究課題/領域番号 |
07671018
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
興梠 征典 熊本大学, 医学部, 助教授 (60195691)
|
研究分担者 |
浦田 譲治 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (30264302)
|
キーワード | Magnetization transfer contrast / Magnetic resonance imaging / 超高磁場MR装置 / 超急性期脳梗塞 |
研究概要 |
Magnetization transfer contrast (MTC)は、高分子と水の相互作用を利用したMRIの新しい撮像法で、従来とは異なるコントラストの画像が得られる。このMTCと造影剤を併用して超急性期の脳梗塞のMRで描出改善の可能性について、7T MR装置を用いて予備実験及び基礎的研究を行った。 予備実験では、1%寒天と水からなるファントムを作成し、MTCパルスの照射時間、波形、強度、オフセット周波数を変化させて、両者間のコントラストが最も良く、水の信号が低下しないような至適MTCパルスについて研究を行った。至適MTCパルスは、できるだけ照射時間が長く、強度が大きく、オフセット周波数が3kHz程度のガウスパルスであった。問題点として、7Tという高磁場のため、自由水の直接励起による信号の低下(画質の劣化)が見られた。 基礎的研究では、アンプへの負荷を考慮して、強度12.6μT、照射時間20msec、オフセット周波数1kHzのガウスパルスのMTCパルスを用いた。砂ネズミの総頚動脈を一時的に閉塞した脳虚血モデルにGd-DTPAを静注し、MTCパルス照射前後の画像における梗塞巣の増強効果の程度について検討した。虚血を起こさせていないコントロール群では脳実質には明らかな増強効果を認めなかった。30分間の一時的な両側総頚動脈の閉塞では、1時間後から側脳室周囲に増強効果が見られ、2時間後に最も強かった。MTC画像では著名な信号低下が見られたが、側脳室の増強効果は強調され、正常脳組織に対する側脳室の信号強度比は改善した。3時間の左総頚動脈閉塞では、脳室周囲に加え基底核にも増強効果が見られた。時間の経過と共にその程度は強調したが、何れもMTC画像で基底核の増強効果はさらに明瞭になった。 MTCはGd-DTPAと協調して超急性期の梗塞巣の描出を改善することが期待される。
|