我々はCTにおける不均一膵脂肪置換は、脂肪代謝異常、膵外分泌機能異常、それに血管性因子(特に動脈硬化)がその臨床的要因に成り得るものと予測してきた。まず、血管性因子との関連性を知る目的で、14症例に対し選択的膵動脈造影CTを施行し、各膵動脈のCTにおける動脈支配領域を明らかにした。その結果、最も強く、かつ高頻度に脂肪置換を認めた膵頭部腹側領域は、前上膵十二指腸動脈と背側膵動脈との吻合枝領域に、また脂肪置換を起こしにくい膵頭下部背側は後膵十二指腸動脈の支配領域にほぼ一致することが解明した。吻合枝領域は、膵内で最も虚血性変化に陥りやすく、そのため二次的に膵実質の脂肪置換が進行することが推測され、不均一な膵脂肪置換に動脈硬化性因子が大きく関与することが示唆された。 一方、我々が過去に報告した不均一膵脂肪置換のCT分類(4つの型)の信憑性を追求する目的で、過去2年間で少ないながら6例の患者に3-dimentional再構築像を作成し検討を行なった。その結果、膵体尾部領域の中で脂肪置換の程度が特に軽度な部位も存在し、今後さらに細かいCT分類が本法の臨床応用により可能となることが示唆された。この点に関しては、今後更に症例を蓄積して検討を行う方針である。
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