研究概要 |
アドリアマイシン封入消失型マイクロカプセルを作成し,家兎VX2腫瘍(下肢皮下に移植)を用いて動脈内投与時の抗腫瘍効果に関して検討を行った。 1)アドリアマイシン溶液を動注した場合とアドリアマイシン封入マイクロカプセルを動注した場合とで腫瘍内アドリアマイシン濃度を比較したところ,マイクロカプセル動注群はアドリアマイシン溶液動注群に比し腫瘍内アドリアマイシン濃度は高く,動注60分後まで高値を示した。 2) VX2腫瘍の発育はアドリアマイシン封入マイクロカプセルにより著しく抑制され,その程度はアドリアマイシン量をマイクロカプセルと同一にしたアドリアマイシン溶液動注に比し有意に高かった。また,抗癌剤を含まないマイクロカプセル動注では腫瘍抑制や見られなかった。 3)アドリアマイシン封入マイクロカプセルの動注はアドリアマイシン溶液動注に比し腫瘍に広範な壊死を起こし,組織学的にも抗腫瘍効果増強が確認された。 4)アドリアマイシン封入マイクロカプセルの動注により腫瘍周囲組織には壊死は認められず,マイクロカプセル動注による正常組織への影響は極めて軽微と考えられた。 以上より,抗癌剤封入マイクロカプセルは単なる抗癌剤動注に比べ抗腫瘍効果を増強し,周囲組織への影響も少なく,動注療法を行う上に有用と考えられた。
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