研究概要 |
本研究はRI標識抗体による内用療法によって腫瘍細胞がいかに変化するかを分子生物学的に明瞭にすることを目的とした。投与量や繰り返し投与など条件が及ぼす影響を検討し、以下のような結果を得た。 1.CEA産生ヒト胃癌細胞をI-131にて標識したモノクローナル抗体(ZCE025,21B2)とインキュベートしたところ、 (1)細胞にアポトーシスを示す知見は得られなかった。 (2)細胞傷害効果は投与量に依存し、繰り返し投与の方が効果が高かった。 2.マウス白血病細胞をI-131にて標識したマウス白血球表面抗原を認識する抗体とインキュベートしたところ、 (1)アポトーシスの知見を認めた。 (2)アポトーシスはI-131のみ、またはI-131で標識した非特異抗体でも認められた。 3.CEA産生ヒト胃癌細胞を植え付けたヌードマウスにI-131にて標識したモノクローナル抗体21B2を投与したところ、 (1)細胞にアポトーシスの現象は認められなかった。この事は投与量を変化させても同様であった。 (2)標識抗体は腫瘍部分に局注投与した場合、腫瘍細胞の壊死が認められたが、アポートシスの所見は得られなかった。投与を繰り返した場合、腫瘍細胞の壊死は認められたが、腫瘍組織への取り込みは低下した。 4.マウス白血病細胞を腹腔内に植え付けたヘテロマウス、ヌードマウス、SCIDマウスにI-131にて標識したモノクローナル抗体を投与したところ、 (1)いずれのマウスにおいても、アポトーシスを示す知見を認めた。この知見はI-131のみの投与でも認められた。 (2)投与量の影響を検討した結果、低い濃度で上記の知見が得られたのはヘテロマウスのみで、ヌードマウスではI-131単独でも、標準抗体でも効果は同一であった。また、高濃度のI-131投与により、SCIDマウスでは放射線障害によって死亡した。
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