移植筋皮弁の血行障害をMRI及びMRSによって客観評価するため養豚(体重10〜15kg)12頭を対象としてCummings and Trachyの方法を用いて鼠径筋皮弁モデルを作成した。筋皮弁モデルは阻血方法によってearly group(筋皮弁作成1日後に1側の筋皮弁の血流を遮断する)6頭及びdelayed group(筋皮弁作成7日後に1側筋皮弁の血流を遮断する)6頭に大別した。MRIは1.5T装置を使用し、まずSE法によるT1強調像、拘束SE法によるT2強調像及びSTIR像を得、引き続いてGd-DTPA0.2mmol/kg急速静注によるダイナミックMRIを20秒間隔で5分まで連続して行ない以後10分毎に1時間までdelayed imageを撮像した。単純MRIではdelayed groupにおいてT2強調像及びSTIR像にて健常筋皮弁に比しやや高信号を呈する傾向がみられたが統計学的には明らかな有意差は得られなかった。又early groupでは健常側に比し明らかな信号の変化はみられなかった。ダイナミックMRIでは健常筋皮弁は静注直後より急増パターンを呈し約20分後にピークに達し以後漸減を示した。これに対しdelayed groupは静注直後より漸増パターンを呈しピークは約30〜35分後と健常側に比しやや遅延する傾向がみられた。又delayed groupのピーク高は健常側に比し明らかに低かった。一方early groupでは全経過を通じて明らかな造影効果を認めなかった。MRIと同時に施行した^1H-MRSでは呼吸性移動によるノイズの要素が強く健常側とearly group、delayed group間で有意な所見を得る事が出来なかった。以上の検討結果から移植筋皮弁の血行障害の診断にはGd-DTPA急速静注によるダイナミックMRIが最も有用である事が示唆された。
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