マウス実験腫瘍SCCVIIを用いてフマギリンの誘導体での新生血管阻害剤(FR、TNP-470)を用いて、単独及び温熱での抗腫瘍効果を検討した。 新生血管阻害剤:FR、TNPを0.5、1.0、2.0mg/kgをVelicleに溶解し、単独群では48時間毎に背中に4回連続投与した。温熱処理は44℃、5、10、15分間処理を行った。 結果及び考察:(1)新生血管阻害剤の抗腫瘍効果は、腫瘍容積が小さい時に著効を示すが、腫瘍系が増大するに従ってこのFRの抗腫瘍効果は減少する。(2)投与後10日目の対照群に対する縮小率はSCC-7腫瘍では、TNP-470投与群では0.5、1.0、2.0mg/kgで21.8%、3.1%、1.6%であった。(3)FR投与群では7.8%、7.8%、1.6%であった。FM3A腫瘍ではTNPでは57.3%、11.7%、8mm以上では温熱とFRでは33.8%、30.8%、16.1%であった。(4)しかし、腫瘍系が8mm以上では温熱とFRを併用する事で温熱単独よりもFR併用群で抗腫瘍効果の増強を認め、また44℃10分処理よりも、44℃20分処理の方が増強効果が大きかった。この事は、温熱による腫瘍血管の破壊、それに伴う新生血管の成長を阻害することで、温熱の抗腫瘍効果を増強したと考えられた。 今回用いた血管阻害性物質は、腫瘍が小さい間は著効を示すが、大きくなると効果が減少する。これを今後如何に克服していくかが大きな問題点と思われた。
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