研究概要 |
放射線照射後の腫瘍組織の反応がapotosisになるか、necrosisになるは腫瘍系や、照射線量に依存する。照射による抗腫瘍効果はこのアポトーシスと60Gyの高線量照射後起こるネクローシス(壊死)との割合、又、その寄与については不明である。照射後に起こる腫瘍組織中のアポトーシス的細胞死をFitc結合-抗Fas抗原を用いてFlow Cytometerを用いて細胞数当たりのFas抗原を示す細胞数を調べた。又、壊死細胞数は細胞径を示すCytogramから測定する。同時に腫瘍組織から凍結切片を作製し、Fitc抗Fas抗原を用いて免疫組織染色を行うことでアポトーシス、ネクローシスの割合を半定量的に調べ、照射による細胞死の動態を解析することで抗腫瘍効果の関係から腫瘍組織の放射線感受性の指標(先行指標)の可能性を検討した。 (1)抗Fasモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色の技術の確立 Balb/Cマウスに移植可能な種々の腫瘍系(SCC-7)を用いて^<60>Coγ線を少線量(3〜8Gy)及び高線量30Gy照射後経時的(6時間、12時間、24時間、3日、7日、14日)に腫瘍組織を摘出し、クリオスタットで凍結切片を作製し、抗Fasモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色(ABC法)を行った。apotosisの出現頻度を半定量的に測定する。市売されている(APO-1:アポ-タッグ,オンコジーン社)を用いて照射後の腫瘍組織に出現するアポートシスを計測した。半定量的であるが低線量(6Gy)では照射後6時間で3-5%と早期に出現が見られた。高線量(25Gy)ではネクローシスが顕著に出現した。 (2)放射線の抗腫瘍効果(腫瘍成長遅延)とこのapotosis細胞の出現頻度、および出現時期との関係について検討した。しかし免疫組織染色での組織標本を用いてアポトーシスの出現を定量的に測定するには困難がある。1つは染色された陽性細胞の基準が明確ではない。この腫瘍系(Scc-7)では6Gyと低線量においてアポトーシスの出現が認められるが、この程度の線量(6Gy)では著名な抗腫瘍効果が得られず,アポトーシスによる細胞死が腫瘍縮小にどれほど寄与しているかを示す結果は得られなかった。
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