研究概要 |
1.材料の登録 以前行った病理組織学的検索で用いた症例(1946年〜1990年)を1994年まで延長し,骨盤照射の既往歴をもつ大腸癌症例を登録した. 2.線量データの再収集 これまでに収集した30例のうち,当研究会附属病院で照射された約7割の線量データをデータベースに登録中である.残りの3割(他施設での照射例)のうち,線量評価が可能な症例については,線量データに関して照射施設に問い合わせ中である. 3.遺伝子解析 パラフィン・プロックから薄切した切片中の癌組織を,microdissection法を用いて切り出した.切り出した微小組織中のDNAをPCRを用いて増幅し,ras遺伝子の変化については,dot blottingによって検索中である.p53蛋白の発現については,免疫染色により,データを得つつある. 4.問題点 いくつか問題点が生じている.第一に,他院で照射された症例について,資料の破棄のため線量データを集めるのが予想以上に困難であったこと,第二に,パラフィンプロックから抽出したDNAの検索において,dot blotting以外の比較的長いDNA鎖を利用する解析で,結果が安定しない(すなわち再現性を得るのが難しいこと,などである.)
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