研究概要 |
平成7年度に確立したシステムに基づいて,本年度は同意のとれた7名のトレット症候群患者のドーパミンD2受容体の多型性の検討を行った。さらにD2部位に加えてD4受容体の多型性を決定する簡便な方法を作成し,あわせて検討を行った。 実際に対象とした多型性部位は、第11染色体長腕の11q22-23に同定されているドーパミンD2受容体の3′noncoding領域で、エクソン8より約5kb下流に存在するTaqIA部位、同じくドーパミンD2受容体の5′noncoding領域で、エクソン1より約900bp上流に存在するTaqIB受容体、そして第11染色体短腕の11q15.5に同定されるドーパミンD4受容体の細胞質内第3ループに存在する2〜7回の48bp繰返し多型である。いずれもPCR法でドーパミン受容体の多型性部位を増幅し,D2TaqIA部位,D2TaqIB部位については制限酵素TaqIで消化し,RFLP法で解析を行った。 7名のトレット症候群患者,28名の傾眠症患者,Berrettini WHらの報告したAfrican-American88名の正常対象者について,D2TaqIAおよびBの対立遺伝子頻度を比較した。D2TaqIA部位では,トレット症候群がA1:14%(2/14)A2:86%(12/14)であるのに対し、傾眠症群ではA1:43%(24/56)A2:57%(32/56),正常群ではA1:40%(70/176)A2:60%(106/176)であった。D2TaqIB部位では,トレット症候群患者B1:14%(2/14),B2:86%(12/14)で、傾眠症群ではB1:39%(22/56),B2:61%(24/56),正常群ではB1:22%(38/176),B2:78%(138/176)であった。D4受容体の多型については、トレット症候群患者で結果C3(4回反復):15(94%)、C5(2回反復):1(6%)で、Inoueらによると健常日本人中ではC1:1% C2:5% C3:78% C4:1% C5:15%と報告されている。
|