研究課題/領域番号 |
07671056
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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研究分担者 |
岡田 幸之 国際科学振興財団, 専任研究員
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (30251557)
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キーワード | 触法精神障害者 / 処遇 / 精神鑑定 / 簡易鑑定 / 心神喪失 / 措置入院歴 / 精神障害者 / 社会復帰 |
研究概要 |
触法精神障害者の処遇・治療策のあり方を研究する目的で、2種類の調査を実施した。一つは、1994年1年間に法務省に登録された全1124例のデータの分析で、1980年の946例のデータと比較して、犯行後の精神鑑定、法的処分等にどのような変化が生じているかを調査し、以下のような結果を得、さらに調査分析を勧めている。 1980年に比較して1994年の資料には、以下のような特徴が認められた。(1)罪種では殺人が207件から152件に減少し、詐欺・窃盗が214件から317件に増えたことに代表されるように、より軽微なものが多くなった。(2)精神鑑定例では鑑定なし、簡易鑑定が多く、本鑑定が少なくなった。(3)処分判定では心神喪失の判定が少なくなり、心神耗弱・不起訴の判定が多くなった。(4)事件後の処遇では、措置入院が428件から600件へと増加した。(5)この措置入院患者について比較すると、1994年では、過去に措置入院歴を有するものが増加し、また平均措置入院期間が短くなる傾向が認められた。一方で、社会全体としてみると措置入院は減少しており、少数の触法精神障害者が頻回精神病院に措置入院するという、措置入院患者の回転ドア的処遇の存在の可能性が示唆される。 もう一つの調査は、触法精神障害者の処遇についての一般の意識調査であるが、慶應大学法学部加藤久雄教授の協力により、同大学学生487人に対し「精神障害者の犯罪とその処遇及び社会復帰」と題するアンケート調査をおこなうことが出来た。これによれば、多くの人が精神障害者のイメージをマスコミの事件報道から得ていること、多くの人が、犯罪を行った精神障害者とそうではない精神障害者が同じ施設で同一の基準によって処遇される日本の現状に多くの人が疑問を抱いており、触法精神障害者の退院・社会復帰には特別なサポートや、時にはその制限が必要であると考えていることなどが明らかになった。
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