ラットに長期の強制歩行ストレスを負荷して、無動状態の続くうつ病モデル群と、自発活動が回復してくる自然回復群に分け、これら2群間、あるいはストレス負荷を行わない対照群との間に、中枢ノルアドレナリン(NA)ニューロン細胞体(青斑核(LC)、外側網様核(A1)など)のチロシン水酸化酵素(TH)およびTHmRNA発現量に差はないか、免疫組織化学法・in situ hybridization法および画像解析法を駆使して検討することが本年度の目的であった。ラットの自発活動量を測定するためのシ-クェンサー型運動量測定装置を特別注文して導入したが、当初、誤動作が多く、正常に動くまでに時間を要した。このような事情で研究の開始が遅れたが、その後は順調に進み、2週間の慢性歩行ストレスを負荷してうつ病モデルラットと自然回復ラットを作成した。しかし、今回は慢性ストレス終了後、さらに毎日3時間歩行ストレスを負荷するうつ病モデルラットは作成しなかった。余裕があれば、次年度に行う予定である。また、当初の研究計画では、ラットを4%パラホルムアルデヒド燐酸緩衝液で灌流固定し、同一動物の脳から切り出した切片をTHとTHmRNA両方の測定に供し、その相関関係を検討する予定であったが、先に灌流固定をするとTHmRNAの染色が難しくなり、後者の測定には新鮮凍結脳から切り出した切片を用いるつもりである。現在は免疫組織化学法とin situ hybridization法の手技を確実にしたところであり、本年度中にモデル群および回復群のTHmRNA量を測定する予定である。
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