今年度は、^<31>P/^1H二重同調ボリュームコイルおよびGE社製1.5テスラMR装置SIGNAを用いて、MRスペクトロスコピー画像を撮像するためのシステムを構築した。また、このボリュームコイルを用いてMRスペクトロスコピー画像を撮像するための、化学シフト画像用パルス系列を開発した。更に、得られたデーターを処理するためのデータ処理システムをSUN WORKSTATION上で構築した。また、脳の形態学的所見との比較を行うために、Machintoschコンピューターを用いて、定量的に脳形態学的所見を計測することが出来る画像処理システムを構築した。 これらのMRスペクトロスコピー測定システムを用いて、臨床研究を行った。後頭葉における光刺激時の脳エネルギー代謝の変化について、双極性障害患者8名および年齢・性別の一致した、正常被検者9名について測定を行った。その結果、正常被検者では、光刺激により、後頭葉のクレアチンリン酸値が有意に低下することを見いだした。一方、細胞内pHが、骨格筋の収縮時と異なり、上昇する傾向にあることを見いだした。これは、脳のエネルギー代謝状態が、骨格筋とはかなり異なることを示していると考えられた。双極性障害患者については、まだ症例数が少ないものの、正常被検者と異なり、光刺激後に更にクレアチンリン酸が低下するという特有の異常を見いだした。 今後更に症例数を増やし、検討を加える予定である。
|