1、精神分裂病の生化学的病態と興奮性アミノ酸神経系との関連を検討する目的で、興奮性アミノ酸神経伝達に関与すると考えられるグルタミン酸トランスポーターのうち、脳に特異的に存在するGLT-1に対する特異抗体を作製した。15EA02:2、フェンサイクリジンやメタンフェタミンの単回投与ラット(急性および遅延性効果)、およびメタンフェタミン間欠投与により行動学的に逆耐性を形成したラットにおいて、抗GLT-1抗体を用いた免疫定量により大脳皮質、辺縁系中心に脳内10部位(内側前頭前野・背外側前頭葉皮質・側座核・前帯状回・視床・扁桃体・線条体・嗅内皮質・海馬・小脳)でGLT-1の変化を検討した。 3、メタンフェタミン単回投与後、急性(投与後1時間)および遅延性(投与後24時間)のいずれにおいても上記部位におけるGLT-1免疫活性の変化はなかった。 4、メタンフェタミン間欠投与により逆耐性を形成したラットにおいて線条体GLT-1免疫活性の増加を見いだしたことから、行動学的な逆耐性形成には線条件におけるグルタミン酸トランスポーターの異常ないしは興奮性アミノ酸神経伝達の異常の関与が示唆された。さらにこうした変化が精神分裂病の再発脆弱性と関連があるかどうかが今後の課題であり、現在検討中である。 5、フェンサイクリジン単回投与後、急性および遅延性効果を検討した結果、遅延性(投与後24時間)効果として海馬における減少を見いだしたが、その後の検討で、試料の調製・保存条件が結果に大きな影響を与えることがわかり、現在再定量を行っている。 6、抗GLT-1抗体を用いて分裂病死後脳においても予備的に検討したが、ばらつきが大きく死後変化、試料の調製法等基礎条件の検討が必要と考えられた。
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