研究概要 |
細胞外マトリックス分子が中枢神経細胞の生存にどう関与するかを解明するため,胎生18〜19日目のラット脳から調製した初代培養神経細胞を使った研究を行い,以下の知見を得た。 1新生児ラット脳から精製したコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPGs)は,用量依存性に大脳皮質及び海馬神経細胞のグルタミン酸による遅発性細胞死を防止した。 2遅発生神経細胞死防止作用は,脳に特異的に発現するCSPGのひとつで,受容体型チロジンホスファターゼの細胞外ドメインと相同な分子であることが解明されているフォスファカンの特定コア蛋白領域にあるらしいことが判明した。 3これを確認するため,推定されたコア蛋白領域と相同なリコンブナント蛋白を作製してその作用を検討した結果,遅発性神経細胞死防止機能はフィブロネクチンIII型リピートのすぐC末端側に位置するアミノ酸配列中に存在することが明らかになった。 4ヘパラン酸プロテオグリカン(HSPGs)を微量測定するため,リポ蛋白リパーゼ(LPL)に対するポリクロナール抗体を利用した酵素免疫学的測定法を開発し,LPL結合性をもつHSPGsを,従来の方法より100倍以上高い感度で測定できることを示した。
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