| 研究概要 |
脳内セレトニンレセプターの各種亜型の機能におけるサーカディアンリズムの有無を検討するために一連の研究を行った来た.昨年度は,明暗,室温,湿度等を厳密にコントロールした条件下で飼育したラットに,8-OH-DPAT(選択的セロトニン1Aレセプターアゴニスト)を各種時刻に皮下投与し,セロトニン症候群を測定し,同薬の投与時刻に依存し暗中期(活動期)を山とする薬物反応性のサーカディアンリズムを見いだした.同様のリズムは同薬の脳室内投与においても見いだされ,これらのリズムが同薬の薬物動態におけるリズムではないことが明らかになった.さらに,1週間の恒暗条件下においても同様のリズムの存在が確認された.
本年度は,同薬を時刻を変えて投与し体温に及ぼす効果を検討した.その結果,同薬の体温低下効果にもサーカディアンリズムが見いだされた.この反応性リズムの位相は上記のセロトニン症候群誘発作用におけるリズムと一致した.このことから同薬の効果においてみられるリズムは,末梢性の指標自体に左右されるリズムではなく,中枢性セロトニン1Aレセプターの機能におけるリズムを反映したものであると考えられた.
以上の結果を総合すると,脳内セロトニン1Aレセプタの機能には内因性のサーカディアンリズムが存在することが強く示唆される.
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