研究概要 |
脳内セロトニンレセプターにおけるサーカディアンリズムの有無を検討するためにラットを用いて一連の研究を行い次の結果を得た. 1.セロトニン1Aレセプターの機能におけるリズム. (1)セロトニン1Aレセプターの選択的アゴニストである8-OH-DPATを時刻を変えて皮下投与し,セロトニン症候群を測定したところ,投与時刻に応じた薬物効果のサーカディアンリズムが見いだされた. (2)同様の実験を8-OH-DPATの側脳室内投与により行い,同様のパターンの効果リズムを確認した. (3)ラットを6日間恒常暗のもとにおき8-OH-DPATを時刻を変えて皮下投与し,同様のパターンのリズムを確認した.以上の3実験から,脳内セロトニン1Aレセプターの機能には内因性のサーカディアンリズムが存在することが強く示唆された. (4)8-OH-DPATの皮下投与による体温低下作用においても同様のパターンのリズムが見いだされ,上記リズムが末梢の効果器に依存するリズムではないことが確認された. 2.セロトニン2Aレセプターの機能におけるリズム. セロトニン2A/2CレセプターアゴニストのDOIを用いて,その行動効果におけるリズムを検討したところ,8-OH-DPATとは鏡像関係にあるパターンのサーカディアンリズムが見いだされた. 以上から,脳内セロトニン1Aおよび2Aレセプターの機能には互いに鏡像関係にあるパターンを持つサーカディアンリズムが存在することが強く示唆された.
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