研究課題/領域番号 |
07671078
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小椋 力 琉球大学, 医学部, 教授 (60032330)
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研究分担者 |
上間 武 琉球大学, 医学部, 助手 (80223501)
平安 良雄 琉球大学, 医学部, 助手 (70244324)
松尾 和彦 琉球大学, 医学部, 助手 (90264499)
大田 裕一 琉球大学, 医学部, 助手 (90264481)
外間 宏人 琉球大学, 医学部, 助手 (80238724)
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キーワード | 事象関連電位 / 生理学的指標 / 認知機能 / 精神疾患 / 補助診断 / コンピュータ診断 / P300 / N200 |
研究概要 |
事象関連電位は、認知機能の客観的指標とされている。いっぽう精神分裂病をはじめ多くの精神疾患で事象関連電位の異常が報告されており、本電位の異常を詳細に検討することにより各精神疾患の病態解明が進んでいる。しかし、本電位が臨床診断に寄与するまでには至っていない。そこで本研究では、事象関連電位の波形分類により精神疾患の診断を少しでも客観的に行えることを目的とした。 対象は健常対照者100人、DSM-III-Rによる精神分裂病100人、大うつ病70人、不安神経症90人、アルコール依存症50人の計410人である。事象関連電位の記録は音刺激によるオドボール課題を用いて行い、各対象者ごとに低頻度・高頻度の各刺激波形、両刺激波形の引算波形の3種の波形について波形を分類した。分類は小椋ら(1990)の基準をもとに、パターンの異なる波形を8波型に自動的に分類できるようなコンピュータソフトを開発した。それをもとに波形を分類したところ、精神分裂病ではP300に異常を示すIII型と、P300とN200の異常を示すV型のいずれも、他の対象群に比較して多かった。いっぽううつ病では、高頻度刺激に対してもN200が出現するIIb型が70人中54人(77.1%)と高率であった。この型は、健常者でも執着性格の傾向が目立つ人に多いことを明らかにしているので(Oguraら,1991)、うつ病の状態を反映しているより、むしろtrait dependentな所見の可能性が考えられる。 今後、補助診断としての有用性をさらに高めるために波形の分類基準を改善したいと考えている。精神科臨床の場で、本法が使用されることを期待したい。
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