研究課題/領域番号 |
07671079
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
藤井 充 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80199299)
|
研究分担者 |
村上 新治 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30142756)
深津 亮 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10113614)
|
キーワード | アルツハイマー病 / 痴呆 / 眼球運動 / 眼球-頭部協調運動 / 固視微動 |
研究概要 |
これまでの研究結果からADでは注視運動の異常が高頻度で観察されることから明らかになった。平成7年度はAD、多発梗塞性痴呆、老年健常者を対象として、TKK939および両眼用眼球運動分析装置、磁気センサー(Polhemous 3 space)、眼球感動刺激装置、固視微動解析ソフト(ATRと共同開発)とLED指標装置(竹井機器)を用いて、ADの視空間認知傷害の成り立ちを明らかにするために視空間成立の予備的条件として身体座標系の様態を視覚情報処理の視点から検討し、特徴を抽出して視空間認知傷害の神経心理的、哲学的課題の解明を目指し、以下の実験を行った。1.ADの眼球-頭部強調運動のデータ収集、解析、2.ADの両眼眼球運動のデータ収集、解析、3.ADの固視微動のデータ収集、解析。その結果、1.ADの眼球-頭部強調運動:ADでは眼球運動に比べて頭部運動の比率が低下していた。このような傾向は特に初老期に発症したADに顕著であった。2.ADの両眼眼球運動:ADでは両眼の動きに動揺がみられ輻射角の形成が不安定、不正確であった。このような傾向も特に初老期に発症したADに顕著であった。3.ADの固視微動:現在解析中であるがバンドパスフィルターをかけてドリフト成分を抽出した固視微動の周波数フーリエ変換による一部解析結果ではADでは低周波数帯域の成分が多くみられる傾向が認められた。 以上、現在解析中の結果を含めて考察するとAD、とくに初老期発症の眼球運動、眼球-頭部協調運動、固視微動に特徴的な異常な運動がみられ、近年の神経生理学の所見をあわせ考えると頭頂葉ニューロンの機能低下と関連しているものと考えられ、ADの視空間認知傷害と深く関係しているものと考えられる。
|