研究概要 |
細胞内コンパートメント特異的な蛋白によってリソソーム(Lys)経路を同定して、アミロイド前駆体蛋白(APP)の細胞内処理過程を明らかにするために以下の実験を行った。 1)細胞内コンパートメントならびに輸送小胞に特異的蛋白に対する抗体の樹立: 小胞体、ゴルジ装置、並びに輸送小胞に特有な蛋白の特徴のあるドメインを合成して抗体を作成した。即ちERGIC53,rab7,transferin,transferin receptor,garactosyl transferase,clathrin,adaptor proteinに対する抗体を確立した。 2)培養細胞株におけるLys関連経路の組織学的同定: APPの各ドメイン、Aβに対する特異抗体と前述のコンパートメント特異抗体を選択して免疫染色を行ない、レーザー顕微鏡により観察した。各コンパートメントと特徴のある染色像を呈し同定が可能となり、Aβを含むAPP断片の局在がある程度明らかにされた。細胞内輸送経路に円経を与える薬剤を加えて細胞を培養した場合も現在観察しており興味ある結果が得られている。 3)培養細胞株におけるLys系関連経路におけるAPP分解過程に関する生化学的研究: ブレフェルヂン、クロロキン、塩化アンモニウム、バフィロマイシンなどのLys系関連経路の細胞内輸送に影響を与える薬剤を加えて、各細胞画分におけるAPP断片の性質をウエスタンブロッテイングにより輸送小胞の性質とAPPの性質を調べた。Lys系関連経路の中でも各々相違がありそうであり、更に分析を行っている。 4)APPのwild type,mutant typeの遺伝子を過剰発現させた場合Lys関連輸送経路におけるAPPの処理過程の解析:APPのwild type,mutant typeの遺伝子を培養細胞で過剰発現させてLys関連輸送経路におけるAPPの処理過程にどの様な変化が生じるか現在検討を加えている。
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