研究課題/領域番号 |
07671082
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
古塚 大介 大阪市立大学, 医学部, 講師 (70199438)
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研究分担者 |
勝元 栄一 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90271189)
木岡 哲郎 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40254396)
横谷 昇 大阪市立大学, 医学部, 講師 (10244641)
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キーワード | protein kinase C / convulsion / translocation / ep:lespy |
研究概要 |
本研究は平成7-9年度において、遺伝性てんかんモデルであるE1マウスおよびPTZなどの薬剤誘発てんかんを用いて、痙攣という病態を解明するために、脳のPKCに注目し、膜および可溶画分においての活性、PKCおよびそのisozymeの細胞内移動、mRNAの発現、PKC活性を調節する酵素のひとつであるCa^<2+>依存性のprotease活性を測定検討する予定である。平成7年度(平成8年2月まで)では、生後75日のddYマウスにPTZ(60mg/kg)を投与し痙攣を誘発させたPTZ誘発痙攣の実験系を用い、大脳皮質、海馬、線条体、視床・視床下部の4部位で痙攣発作の影響を発作間欠期、痙攣前駆期、強直痙攣期および発作10分後でPKC活性おをびWestern blotting法を用いた細胞内局在を検討した。 結果 1)PKC活性におよぼすPTZ誘発痙攣の影響 大脳皮質で痙攣後10分の細胞質画分のPKC活性が対照、痙攣前駆期、強直痙攣期に比べ有意に亢進していたが、膜画分では有意な差は認められなかった。海馬、線条体、視床・視床下部の3部位ではPTZ誘発痙攣で細胞質、膜画分とも有意なPKC活性の変化がみられなかった。 2)Western blotting 痙攣後10分で細胞質画文の80K PKC-βが増加し、膜画分では減少していた。また、細胞質画分で強直痙攣期および痙攣後10分で50K PKC-βが出現していた。PKC-αでも同様な傾向が見られたが、PKC-γでは痙攣による変化がみられなかった。 考察 PTZ誘発痙攣時、大脳皮質においてPKC-βおよびPKC-αの細胞膜から細胞質へのtranslocationが生じ、細胞質のPKC活性が増加した。また強直痙攣期に細胞質で50KのPKC免疫活性が観察された。この50KのPKC免疫活性はPKCの限定分解によるCa^<2+>非依存性のPKC catalitic domainと考えられた。このことより、亢進したリン酸化反応の一部は細胞内のCa^<2+>が低下した後も長時間持続することが予想され、また、細胞膜から細胞質への移行は細胞核内でc-fos,c-junなどのimmediate early genesの発現にも関与することが予想された。
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