研究概要 |
(結果) 1.PTZ誘発痙攣 1)PKC活性 大脳皮質で痙攣後10分の細胞質画分がPKC活性が対照、痙攣前駆期、強直痙攣期に比べ有意に亢進していたが、膜画分では有意な差は認められなかった。海馬、線条体、視床・視床下部の3部位ではPTZ誘発痙攣で細胞質、膜画分とも有意なPKC活性の変化がみられなかった。 2)Western blotting 痙攣後10分で細胞質画分の80KPKC-βが増加し、膜画分では減少していた。また、細胞質画分で強直痙攣期および痙攣後10分で50KPKC-βが出現していた。PKC-αでも同様な傾向が見られたが、PKC-γ、δ、ε、ζでは痙攣による変化がみられなかった。 3)Calpain活性 大脳皮質の細胞質画分および膜画分のCalpain活性は対照に比べ、痙攣前駆期、強直痙攣期、痙攣後10,30,90分で有意な差は認められなかった。 2.ELマウスの発作 1)RT-PCRによる各PKCisozymeの発作後の変化 PKCαは発現量は少なく、発作間欠期より徐々に低下した。PKCβも発現量は少なかったが、間欠期より徐々に上昇した。PKCγは豊富に発現し、発作30分後にピークとなり、120分後に間欠期のレベルに戻った。PKCδは発現量は少なかったが、発作30分後にピークを示した。 (考察) PTZ痙攣では大脳皮質におけるPKC-α、βの細胞膜から細胞質へのtranslocationが生じ、細胞質のPKC活性が増加した。また強直痙攣期の細胞質における50KのPKC免疫活性は、痙攣後の比較的早期の変化であり、CalpainによるPKCの限定分解によるものではないと考えられた。 また、RT-PCRによるELマウス発作後のPKC isozumeの変化は、PTZ痙攣後の結果とは異なる発現パターンを示し、さらにnorthernおよびwestern blotによって検討したい。
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