研究概要 |
精神分裂病や躁鬱病のには世代ごとに症状が重篤になるgenetic anticipationがみられ,原因遺伝子の翻訳領域にあるトリプレットリピートCAGの伸長によって発症することが解明されたハンチントン舞踏病などの神経変性疾患にも同様にgenetic anticipationがみられることから,精神分裂病や躁鬱病の発症機構に同様の分子機構が存在することが示唆されている.昨年度は中枢神経系に発現する新規のCAGリピートを有する遺伝子のクローニングを行い精神疾患候補遺伝子のDAT AB ASEの樹立を行ってきた.今年度はCAGリピートの伸長が細胞や生体に如何なる影響を呈するかを検討するため,トリプレット病の一つであるMachado-Joseph disease(MJD)の原因遺伝子MJD1をRT-PCRによりMJD患者リンパ球RNAより単離した.また解糖系酵素であるGAPDHがハンチントン舞踏病原因遺伝子産物であるHuntingtinおよびDRPLA原因遺伝子産物とin vitroで会合すること,またHAP-1がHuntingtinとin vitroで会合することが明かになってきたため,それらの遺伝子を用いたトリプレット病原因遺伝子産物との会合実験とそれら分子の細胞内で相互作用や生体内での挙動を検討するためGAP DHおよびHAP-1をクローニングし,yeast Two-Hybrid SystemのVectorに挿入し,相互作用を検討するためのアッセイ系を確立した.またMJD1をクローニングする過程で2種類の新規のスプライスヴァリアントが単離されたので,リンパ球と脳におけるそれらのバリアント発現様式を合わせて検討した.
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