研究概要 |
我々は平成7年度よりラピットサイクラ-の成因および治療に関しての前向き研究を行ってきた。これまでに同定し、follow-up中の患者も30名以上にのぼり国内施設としてはおそらく最多であり、欧米の研究とも十分比較できる多数例での臨床研究が可能な状況となっている。今後は精神症状、ライフイベントの情報を把握するために定期的に半構造面接を行いながら2年間の長期経過を調べる予定である。 現在までの予備的研究の成果として、 1 ラピットサイクラ-の生物学的マーカーとしてスポット尿中のフリーコルチゾールを測定したところ、うつ状態において有意に高い値を呈した。ラピッドサイクラ-はうつ病相において視床下部-下垂体-副腎皮質系の異常が特に認められることを報告した。(Biological Psychiatry38,128-130,1995) 2 治療に関しては病相頻回状態の継続期間によってリチウム等による治療への抵抗性が異なることを見いだした。(1995) 今後はラピッドサイクラ-の長期予後にみでなく予後良好例と不良例を比較することにより、有効な治療法ないし予後の有力な影響因子を明らかにする予定である。
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