研究概要 |
我々は以前の研究(American Journal of Psychiatry 1994,Tomikata and Sakamoto)を拡大し、平成7年度よりラピッドサイクラ-の成因および治療に関しての前向き研究を行ってきた。これまでに同定した患者は30名で平均1.2年のfollow-up中である。その間のfollow-up中の治療は、リチウム、カルバマゼピン、その他の薬物を用いた。 患者群の中で30名中14名がfollow-up中の最初の1年目にラピッドサイクラ-ではなくなった。(それらの群ではラピッドサイクラ-の持続期間が短い傾向があった)残り16名は今もラピッドサイクラ-を続けている。治療に関しては病相頻回状態の継続期間によってリチウム等による治療への抵抗性が異なることを見いだした。 尿中フリーコルチゾールを測定するデキサメサゾン抑制試験(Biological Psychiatry.1996,Tomitaka et al)により患者の視床下部-下垂体-副腎皮質系に縦断的に調べた。その結果尿中フリーコルチゾールは、うつ状態において軽躁状態より有意に高かった。ラピッドサイクラ-の患者は気分の状態により視床下部-下垂体-副腎皮質が変化していることが示唆された(Biological Psychiatry,1995,Tomitaka et al.)。
|