研究概要 |
久留米大学病院のコンサルテーションリエゾンサービスにおいて経験したせん妄患者を対象にTrzepaczら(1988)のせん妄評価尺度を用いてせん妄患者を評価した。意識障害のない場合は本人から、意識障害がある場合は家族から同意をとり、各種抗精神病薬(mianserin, haloperidol, xypertine, tiapride)を投与した。薬物投与前日、投与第1日目、3日、5日目に採血を施行し、血漿中のHVA、MHPG、5-HIAAなどをガスクロマトグラフィーあるいは高速液体クロマトグラフィーで測定した。その結果、DRSの得点が50%以上改善した症例はmianserinで56.4%(n=16)であった。また、血漿中のHVA、MHPGの変化を検討した結果、血漿中MHPGはせん妄の改善と共に減少していた。したがって、せん妄状態では血漿中MHPGが増加していることが示唆された。また、せん妄状態における生理学的な変化を検討する目的で脳波やアクチグラムを記録するように試みたが現在まで体動が著明であったり、身体疾患が重症であったことなどからアルコール依存症の離脱時に発症した振せんせん妄の1例でアクチグラム記録に成功しただけであるので症例を集積する必要がある。
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