当該年度には、AGEを特異的に認識するポリクローナル抗体を新たに作製し、脳組織、腎組織の特にコラーゲンに蓄積したAGE量、およびコラ-ゲ以外のタンパク質に蓄積したAGE量を別々に定量的に測定する高感度のELISA系を開発した。本アッセイ系を用いて各組織のAGE量を糖尿病ラットで測定したが、AGE量は非糖尿病に比して糖尿病ラットにおいて有意に高い値を示した。また、血液中のLDLに生じたAGE(AGE-LDL)の値は、健常者に比して、糖尿病性腎不全で著しい高値を示した。これらの研究成果は、第35回日本臨床化学会(平成7年10月6日、岐阜)及び国際的シンポジウムであるNagoya symposium of AGEs in diabetes and renal failure(平成7年9月30日、名古屋)などで発表した。さらに、本AGE特異抗体を用いアルツハイマー病患者の脳組織の免疫組織学的検討を加えたところ、神経原繊維変化の認められる部分に特異的にAGEの沈着、が認められ、現在、その特異性、病因としての意義について検討中である。これに加え、より簡便なAGE測定法として、蛍光測定法を開発し、これを用いアルツハイマー病とAGEの関係を解明することを目指し、基礎的臨床的検討を行っている。
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