当該年度には、新たに開発したAGEを特異的に認識するAGEポリクローナル抗体を用いた基礎的研究を行うとともにアルツハイマー病および類縁疾患におけるAGE沈着の病理組織学的検討を加えた。さらに、新たに開発されたAGE阻害剤の糖尿病性腎症における治療効果をAGE抗体を用いた免疫病理組織学的に解明した。具体的研究実績としては、 1)AGE抗体を用い免疫学的測定法、病理組織学的検討が可能となった。 2)AGEはuremic toxinsとして作用することが明らかになった。 3)アルツハイマー病、およびその類縁疾患であるPick′s disease、Progressive supranuclear palsy、Guamnian parkinsonism-dementia complexの脳病変組織にAGEの沈着を認め、アルツハイマー病およびその類縁疾患においてその病因にAGEが関与していることが明らかになった。 4)アルツハイマー病では老人斑のcoreの部位に強いAGEの沈着を認めた。 5)AGE抗体を用いた免疫病理組織学検討より新たに開発されたAGE阻害剤は腎組織におけるAGE沈着を抑制することにより糖尿病性腎症進展を阻止することが明らかになった。 以上の研究成果1)、2)は後に掲載した学会誌、および口頭発表にて報告した。さらに研究成果3)、4)はFifth International Congress on Alzheimer′s Disease and Related Disorders等にて報告し、投稿中であり、研究成果5)はDiabetes誌に印刷中となっている。
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