(1)ラット繊維芽細胞において、チロシンキナーゼ部位に異変をもつインスリン受容体がwild typeのインスリン受容体と同様にIGF-I受容体とハイブリッドを形成することを示した。 (2)変異インスリン受容体とのハイブリッド受容体を持つ細胞では、インスリン作用の低下に加えてIGF-I作用、特にIGF-Iによる増殖促進作用が障害されていた。またその障害がインスリン、IGF-I作用で共通で認められる細胞シグナル伝達経路においても認められ、受容体レベルでの障害がその原因と考えられた。さらにこの作用の抑制効果はインスリン、IGF-I作用に特異的な細胞内基質であるIRS-IとShcへの燐酸化の違いとしても捉えられ、シグナル特異的な事を示唆していた。 変異インスリン受容体のIGF-I作用への抑制効果は、wild type のIGF-I受容体を細胞に大量に発現させ、ハイブリッド受容体のIGF-I受容体全体に占める割合を減少させることで減弱した。 ハイブリッド受容体が発現したインスリン受容体の数に比例して増加すること、またキナーゼ変異インスリン受容体とのハイブリッド受容体はチロシンリン酸化を受けにくい事、ハイブリッド受容体は細胞内へのinternalizationにおいてはインスリン受容体よりもIGF-I受容体としてふるまう事を明らかにし、報告した。 高田康光他 キナーゼ部位変異インスリン受容体(Nagoya-1)によるIGF-I受容体へのdominant negative effect 第38回 日本糖尿病学会総会、 1995、 5、 大宮
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