研究概要 |
1.日本人の家族性TBG増多症3家系(EJ1,EJ2,EJ3)と、男児のみにTBG増多症を認めた1家系(EJ4)において、TBG遺伝子量をDuplex PCR,HPLC法により定量した。TBG増多を示した患者全てに、TBG遺伝子の増幅を認めた。EJ1,EJ3には3倍増幅を、EJ2,EJ4には2倍増幅を認めた。EJ1,EJ2,EJ3では更に、染色体のFISHを行い、EJ1のみにDuplex PCR,HPLC法の結果に対応した3倍の増幅を確認した。EJ1における遺伝子増幅の範囲が広いこと、EJ4では、増幅が新生したことが推測された。 2.白人の家族性TBG増多症4家系(EC1〜EC4)において、TBG遺伝子量をDuplex PCR, HPLC法により定量し、全家系にTBG遺伝子の増幅を認めた。解析した8家系全てに遺伝子増幅を認めたことから、これが家族性TBG増多症の主要な機序であることが判明した。 3.日本人のTBG完全欠損症(CD)あるいは減少症(PD)を呈する50家系の遺伝子異常を、Allele Specific Amplification法によるスクリーニングにより解析した。44家系がCDJの変異で、残りの6家系がPDJであり、両遺伝子変異が日本人の祖先に生じ広く浸透したものと考えられた。 4.男性と同じ完全欠損の表現型を示したCDJのヘテロ女性において、正常のTBG遺伝子のみが、選択的に不活化されていることを以前の研究で示した。今回、CDJ9家系,PDJ1家系で、X染色体の不活化パターンを解析し、1名のみが選択的不活化を呈していた。この患者では、正常のTBG遺伝子が不活化されPDJのみ発現したため、男性患者と同じTBG値を示したものと解釈された。 5.今後は、Pulse Field電気泳動等により、遺伝子増幅の機序を明らかにしていく。
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