研究課題/領域番号 |
07671124
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (00211871)
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研究分担者 |
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (80174308)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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キーワード | TTF-1 / Pax-8 / 転写調節因子 / 甲状腺 / 甲状腺刺激ホルモン / サイログロブリン / 酸化・還元 |
研究概要 |
甲状腺組織特異的転写調節因子TTF-1、Pax-8はサイログロブリン(TG)遺伝子の転写調節領域に結合する。我々はこれまでに甲状腺刺激ホルモン(TSH)によるTG遺伝子の転写活性の増加にTTF-1、Pax-8の転写調節領域への結合の増加が重要であること、またこの結合の増加は転写因子蛋白の翻訳後の修飾によることを示唆した。そこで、初めにTTF-1、Pax-8のDNA結合能が酸化・還元制御を受けるか否か検討した。システイン残基の遊離のSH基を可逆的に酸化するdiamideで転写因子を処理するとDNA結合能の低下が観察された。Diamide処理後、還元剤DTTを添加するとDNA結合能は回復した。この結果からTTF-1、Pax-8のDNA結合能は酸化・還元制御を受けることが明らかになった。次に、TSHによるPax-8のDNA結合活性の増加に対する酸化・還元制御の関与を、ラット甲状腺細胞株FRTL-5を用いて検討した。TSH刺激後の細胞抽出液を還元剤非存在下で調整した。この抽出液を用いて蛋白-DNA結合アッセイを行うと、TSH刺激によるPax-8のDNA結合活性の経時的増加が観察された。一方、細胞抽出液に還元剤DTTを添加すると、経時的なDNA結合活性の増加は消失し、変化の無い強い結合活性が全時間経過で観察された。さらに、細胞抽出液をdiamideで処理するとDNA結合活性は完全に消失した。こうした結果から、TSHは細胞内に存在する酸化型Pax-8を還元し、Pax-8のDNA結合活性を増加することが示唆された。以上の結果から、TSHによるTG遺伝子の転写増加に、酸化・還元制御を介したPax-8のDNA結合活性の増加が重要であることが示された。
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