研究概要 |
インスリン依存型糖尿病(IDOM)はT細胞依存性の自己免疫疾患であり、膵β細胞の特異的破壊にはβ細胞特異的な自己反応性T細胞が深く関与しているこのT細胞の発現、増殖には、本疾患のような臓器特異的自己免疫疾患においては、IL-2やIFN-γを分泌するTh_1細胞が、IL-4やIL-10を分泌するTh_2細胞に比して優位になっている病態が考えられる。本疾患のモデル動物であるNODマウスではIL-4の著明な分泌不全が存在し、このことからも上記の仮説の妥当性が裏付けされる。今回このNODマウスにIL-4を長期投与したところ、その糖尿病発症が著明に抑制された.一方、本疾患に特有な膵ラ島への単核細胞浸潤すなわちinsulitisはIL-4投与群でより著明であった。そこでIL-4投与及び非投与NODマウスより膵ラ島を得て、浸潤細胞がTh_1細胞かTh_2細胞優位であるかをIL-2, IL-4, IL-10, IFN-γ, TNF-αの各サイトカンのmRNA発現をRT-PCR法にて解析した。その結果、IL-4非投与マウスではIFN-γの増加、IL-4の低下が認められたが、IL-4, TNF-αの増加と、IFN-γの低下が認められた。以上の効果はIL-4投与により、膵ラ島に浸潤するT細胞はIL-4分泌を主とするTh_2細胞が優位となり、その結果、自己免疫応答の抑制を介して、IDDMの発症が阻害されたと推察された.
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