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1995 年度 実績報告書

トランスジェニックマウスを用いる糖尿病性合併症の分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 07671144
研究種目

一般研究(C)

研究機関徳島大学

研究代表者

山岡 孝  徳島大学, 医学部, 助手 (40263826)

研究分担者 伊井 節子  徳島大学, 医学部, 助手
板倉 光夫  徳島大学, 医学部, 客員教授 (60134227)
キーワードトランスジェニックマウス / アルドースリダクターゼ / ソルビトールデヒドロゲナーゼ / ポリオール経路 / 糖尿病性合併症 / 糖尿病性網膜症 / 糖尿病性腎症
研究概要

1、マウスMHC class I抗原のプロモーターに接続したヒトアルドース還元酵素(hAR)cDNAが導入され、全ての組織でhARを発現するトランスジェニックマウス(hAR-Tg)とその同腹仔を用いて、糖尿病状態とガラクトース食投与時のポリオール蓄積、ARやソルビトール脱水素酵素(SDH)の活性、NADPH/NADP比(酸化型グルタチオン/還元型グルタチオン比)、NADH/NAD比(乳酸/ピルビン酸比)を経時的に測定した。その結果、糖尿病群ではガラクトース食負荷群と比べ、NADPH/NADP比の低下とNADH/NAD比の上昇が明らかであり、逆にポリオールの蓄積はガラクトース食負荷群の方が著明であった。これらの所見はAR阻害剤によってどちらの群でもほぼ正常化した。糖尿病群におけるNADH/NAD比の上昇の程度はNADPH/NADP比の低下の程度よりもはるかに大きかったので、ARによって生成されるNADPの増加よりもSDHによって生成されるNADHの増加の方が代謝機構全体に与える影響は大きいと考えられた。また、AR阻害剤は、SDHが触媒するNADH生成を間接的に抑制することによってその効果を発揮している可能性が考えられた。一方、眼底検査の所見から、ガラクトース食負荷群では微小動脈瘤の発生が認められたが、糖尿病群では認められなかったため、単純性網膜症の発症にはポリオールの蓄積が深く関与していると考えられた。
2、上記のごとく、糖尿病性合併症におけるSDHの関与が強く示唆されたため、全ての組織でヒトSDHを発現するトランスジェニックマウス(hSDH-Tg)の作製を計画した。ヒトcDNAライブラリーからプラークハイブリダイゼーション法によってhSDH cDNAを獲得し、マウスMHC class I抗原のプロモーターの下流に接続した。このトランスジーンをマウスの受精卵に微量注入し、偽妊娠マウスの卵管に移植した。現在、トランスジーンが染色体に挿入されたマウスクローンをサザンブロット法、PCR法によって選択中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Takashi Yamaoka: "Acute onset of diabetic pathological changes in transgenic mice with human aldose reductase cDNA" Diabetologia. 38. 255-261 (1995)

  • [文献書誌] Mika Ohta: "Galactose-induced albuminuria in transgenic mice expressing human aldose reductase" Nutrition Research. 15. 1343-1353 (1995)

  • [文献書誌] 山岡 孝: "糖尿病性腎症の遺伝子異常" 腎と透析. 37. 713-717 (1994)

  • [文献書誌] 大田 美香: "ヒトアルドース還元酵素を発現するトランスジェニックマウスにおける糖尿病性合併症とアルドース還元酵素阻害剤" 現代医療. 27. 685-690 (1995)

  • [文献書誌] 伊井 節子: "トランジェニックマウスを用いた糖尿病性蛋白尿と網膜症" 治療の最前線. 2. 22-27 (1995)

  • [文献書誌] Mitsuo Itakura: "Polyol accumulation versus diabetic retinopathy and nephropathy in transgenic mice expressing human aldose reductase" Smith & Gordon (in press), (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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