(1)PSFによるPGI_2産生機序:PSFは培養血管内皮細胞(EC)何からのPGI_2のみならず、PGE_2産生を濃度および時間依存性に刺激した。この作用は蛋白合成を必要とせず、細胞外Ca^<2+>に依存した。その刺激機序として、PSFは細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させることが明らかとなった。 (2)STZ誘発糖尿病ラット腎臓におけるPSFmRNAの発現:ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラット腎では、対照ラット腎に比較してPSF発現の有意な低下を認めた。(PSF/β-actin:糖尿病発症4週日で対照の0.77±0.05%) (3)培養血管平滑筋細胞(VSMC)でのPSF mRNA発現に及ぼす高濃度グルコースの影響:ノザンブロット法による検討で、高濃度グルコース(500mg/dl)で培養したVSMCにおけるPSF mRNA/28S rRNA比は、正常グルコース(100mg/dl)培養に比較し、約35%の低下を認めた。 (4)ヒト組織におけるPSFの存在:抗PSFポリクローナル抗体を用いた免疫組織染色による検討で、ヒト剖検標本小動脈血管壁中膜の平滑筋細胞および内皮細胞にPSF局在が証明された。さらに、肺においては気管支平滑筋細胞と気管支上皮細胞にもPSF局在が証明された。 (5)ヒト冠動脈組織の免疫組織染色:ヒト冠動脈におけるPSF局在の免疫組織学的検討では、冠動脈硬化を有する例では対照群と比較してPSF染色性が著明に低下していた。この傾向は、糖尿病合併症例において特に顕著であった。 (6)培養VSMCの免疫染色:VSMCを高濃度グルコース(500mg/dl)で培養すると、正常グルコース濃度(100mg/dl)で培養した細胞と比較し、PSF染色性の低下を認めた。
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