(1)PSF測定系の確立 PSFのモノクローナル抗体を作製し、ELISAによる測定系を確立する予定であったが、モノクローナル抗体がまだ作製できず、ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット法にてヒト血清中のPSF濃度を測定した。その結果、糖尿病患者において年齢・性をマッチさせた対照者に比較して血清中のPSFが低下する成績を得た。 (2)実験糖尿病動物におけるPSF発現異常 ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおいては、腎臓におけるPSF発現が対照群に比較して有意に低下した。また、血管平滑筋細胞を高濃度グルコースにて培養するとPSF発現の低下が認められた。このPSF発現低下の機序に、高グルコースによるプロテインキナーゼCの活性化が関与していることが明らかになった。 (3)免疫染色による検討 血管平滑筋細胞を高濃度グルコースにて培養するとPSF発現の低下と並行して、細胞内PSF染色性が低下する成績を得た。さらに、ウエスタンブロット法により平滑筋細胞内のPSF量の低下も確認された。 (4)リコンビナントPSFの作製 現在、大腸菌および酵母菌を用いてリコンビナントPSFを作製中である。 (5)PSFのトランスゲ-ニックマウスの作製 現在、トランスゲ-ニックマウスの作製が終了し、PSF過剰発現の生体とくに血管壁に及ぼす変化について組織学的・生化学的に検討中である。
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