今回、ペントバルビタール麻酔下のラットに各種糖・ポリオールを2時間にわたり持続静注投与し、in vivo条件下でアンヒドログルシトール(AG)と各種糖との、腎での再吸収における競合関係を中心に観察した。AG再吸収はフルクトースとマンノースにより強い競合阻害を受け、おのおの3.64mmol投与時の尿中AG排泄量は、フルクトースで1.99±0.33μmol、マンノースでは2.34±0.43μmolと、同量のグルコース投与時の3.87±0.61μmolに匹敵するレベルであった。これに対して、シュークロース、キシロース、ガラクトース、ミオイノシトールは競合関係を示さなかった。尿中AG総排泄量を尿中負荷糖総排泄量で除去したAG・負荷糖比は、グルコースの0.005に比し、ガラクトース、シュークロース、ミオイノシトールおよびキシロースでは1〜2桁低いのに対して、フルクトースとマンノースでは0.007前後とグルコースに匹敵するレベルに達した。更に混合負荷では、AG再吸収は共存するほぼ等量のフルクトースまたはマンノースの影響を受けないのに対して、フルクトースとマンノースの再吸収は共存する等量のAGにより著明に(P<0.001)阻害されることも判明した。またAG単独多量負荷によっては、血漿ゴルコース濃度、尿中グルコース排泄量のいずれも有意な影響を受けないことも判明した。以上の結果より、腎尿細管にAG/フルクトース/マンノース選択的輸送系が存在すること、この輸送系はグルコース輸送体よりも下流に位置することが強く示唆された。またこの共輸送体は、AGに対してより強い親和性を示すことから、AG特異的輸送体の可能性も考えられる。また、近年判明しつつある、フルクトース選択的輸送体であるGLUT5との関連性を現在検討中である。なお、今回の研究より、AG再吸収には浸透圧は大きな影響を及ぼさない一方、AGを含む多くの六単糖の再吸収が、高濃度のアミノ酸の灌流により阻害されることも判明した。
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