BCL6遺伝子はB細胞性悪性リンパ腫に高頻度に見られる染色体の3q27転座に関与する遺伝子で、転座に伴い再構成を示す。BCL6タンパクの機能及び発現異常がB細胞に与える影響を検討する目的で、まず抗体を作製した。BCL6とGSTとのfusion proteinを抗原として家兎を免疫しポリクローナル抗体を得た。Western blotでは、BCL6RNAの発現のない細胞ではbandは見られず、RNAを高発現しているB細胞株では90-95kDaのbroadなbandが観察された。興味深いことにBCL6再構成を示す細胞ではBCL6RNAを発現しているにも関わらず、タンパクの発現のあるものとないものとがあることが判明した。BCL6再構成があり、RNAを発現している細胞株2種についてはcDNAクローニングを行い解析したところ、いずれの細胞においても免疫グロブリンとBCL6のfusion mRNAを産生していたが、塩基配列から検討するとBCL6のOpen reading frameはintactであった。免疫染色ではBCL6タンパクは核内に局在していた。【結論】1.我々の作製した抗体はBCL6タンパクの解析に有用である。2.BCL6遺伝子再構成により免疫グロブリンとBCL6のfusion mRNAが産生されるが、BCL6タンパクの過剰産生には至るわけではないらしい。現在さらに詳細を明らかにするため、transfectionのによりBCL6の過剰発現、あるいはBCL6 antisenseによる発現抑制の研究を行っている。
|