研究概要 |
平成7年度の研究計画・方法に基づいて以下の研究を行なった。 マーカー遺伝子としてNeomycin耐性遺伝子を組み込んだAAVベクターであるpHS2/Ag^*/Neoと新たにpAAV/nNeoを作成し、これらをヘルパーウイルスと一緒にアデノ5型に既感染したHeLa細胞に感染させウイルス上清を得た。 ウイルス上清のtiterは既存の方法で測定するとともにMOIを求め、MOI=0.1の条件にて各種ヒト白血病細胞株に感染させ、G418を選択マーカーにして、コロニー法および限界希釈法により遺伝子の導入効率を調べた。 予備実験にてpHS2/Ag^*/NeoがpAAV/nNeoより高率な遺伝子導入効果を認めたため、以後の実験はpHS2/Ag^*/Neoを用いて導入遺伝子の染色体局在も含めて検討した。その結果、 (1)遺伝子の導入効率はK-562,Meg-O1で各々0.27%,0.25%と有意に高く、Raji,MOLT-3,HL-60では0.015,0.0087,0.0093でありU-937とNKM-1では測定感度以下であった。 (2)MOIと遺伝子導入効率との間にはあきらかに正の相関関係を認めた。 (3)コロニー法で得られたクローン毎にサザン法、PCR法により導入された遺伝子が染色体遺伝子のなかに存在すること、またFISH法によりrAAVでは染色体のさまざまな場所に遺伝子が挿入されていることを見い出した。 これらの研究成果に関して欧文の論文を準備中である。
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