研究概要 |
1、3q27バンドに位置するBCL6遺伝子の再構成は、非ホジキンリンパ腫初発症例の11.2%(20/177)、再発症例を含むと15.3%(31/202)に認められ、大細胞型リンパ腫との密接な関連が認められた。これらの症例の臨床病態は、BCL2遺伝子再構成症例と対称的であった。 2、B細胞リンパ腫に認められる染色体転座は、免疫グロブリン遺伝子領域との相互転座が多いが、3q27転座は多様な染色体領域をパートナーとすることを特徴とする。 t(3;6)(q27;p21)は、自験例を含めて4例の報告があることから、recurrentな染色体転座であると考えられる。我々は、2症例の転座接合部の塩基配列を決定し、互いに極めて近接していることを見いだした。6p21に新たな腫瘍関連遺伝子が位置するか否か検討中である。 3、B細胞腫瘍に認められるt(8;14),t(3;14),t(3;22),t(2;3),t(14;19)の転座接合部をPCR増幅する新しい手法(Long distance PCR, LD-PCR)を確立した。改良されたTaqpolymeraseと特異的プライマーの設計により、接合部を含む2-12kbのDNA断片のPCR増幅が可能であり、感度は1/10^4であった。従来の手法で検出可能であったt(14;18)を含めると、B細胞腫瘍の特徴的な染色体転座をほぼ網羅することができる。今後は、緩解状態の診断やMRDの検出に応用する予定である。
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