1、K562YO細胞はc-kit蛋白を膜に発現している。flow cytometoryによりその発現量を検討したところ、cyclic-AMPにより濃度依存性(1mM)及び時間依存性(72時間)に増強した。又、Western法による検討でも同様の結果が確認された。c-kit非発現K562細胞でも、cyclic-AMPにより膜c-kit蛋白発現量がcyclic-AMP非刺激時のK562YO細胞程度までは増加した。 2、発現c-kitはリガンドSL factor刺激により、リガンド量に応じて自己タイロシンリン酸化を受け、レセプターとして機能していると考えられた。1mM cyclic-AMP存在下3日間培養後には、c-kit量は約10倍に増加し、自己タイロシンリン酸化が認められた。蛋白量が同程度の未処理c-kitでは、自己タイロシンリン酸化は認められなかった。 3、cyclic-AMPはc-kit非発現K562細胞のヘミンによる赤芽球分化に対して促進的に作用したが、c-kit高発現K562YO細胞に対しては抑制的に作用した。又、SL刺激は、赤芽球分化に抑制的に作用した。K562YO細胞にアンチセンスc-kit DNAをtransfectしたtransK562YOのc-kit発現量及びヘミン誘導赤芽球分化に対するcyclic-AMP反応性は非発現株と同じであった。以上より、c-kit発現株と非発現株のヘミン誘導赤芽球分化におけるcyclic-AMP反応性の差異は、c-kitの発現量増加の差異及びそれに伴う自己タイロシンリン酸化の有無に関係していると考えられた。 現在、homodimer形成能、下流シグナルの蛋白リン酸化について確認中である。
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